とちぎ教科書裁判通信

大田原市の扶桑社版歴史・公民教科書採択取り消し裁判の私的記録集

2017-08

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生田弁護士の裁判を闘うアドバイス集②ーー裁判オンブズ

裁判オンブズの必要性

生田暉雄

1、米国コロンビア大学行政法学の泰斗ゲルホーン教授の「オンブズマンとその他」副題「民衆の守護者たち―9カ国の制度」1966年刊、によれば、北欧4カ国、ニュージーランド、ユーゴスラビア、ポーランド、ソヴィエト連邦、米国、イギリスの特色の比較解明されている(潮見憲二郎著「オンブズマンとは何か」講談社、30頁)。


2、国会、裁判等の国家権力に対するオンブズマンは、第二次世界大戦後に花開いた。
根拠は、
⑴ 国連の世界人権宣言、人権セミナー
⑵ 国際人権規約A、B及びB規約に付属する「選択議定書」
⑶ ヨーロッパの人権委員会、人権裁判所・オンブズマン
⑷ 統制国家から福祉国家への流れ
「人民は公権力に従うべし」から「公権力の行使は法に従うべし」へ
 である。

3、裁判オンブズの例

スウェーデンの法廷で、裁判長が法廷での録音とテレビ生中継を規制したことに対するオンブズマンの意見表明(潮見前掲52頁)

スウェーデンの法廷では、メディアの記者も一般傍聴人も、原則としてメモはもちろん、テープレコーダー録音も自由。やりとりの実況は別室にも伝送放映される。
パルメ首相暗殺の容疑者に対するストックホルム地裁での公判は、1989年6月5日から7月5日まで行われた。参審員は終身刑という意見だったが、判事の異議により「無罪」となった。
高裁での控訴審(9月12日から10月9日まで)でも、無罪(11月2日判決・全員一致)となり、釈放となったが、全国民の関心の高い事件であり、スウェーデン放送はテレビの生放送用の機材を法廷に持ち込んだ。
地裁での審理の第1日、検事の論告と被告に対する反対尋問は生放送された。その後、最初の証人S氏が生放送を忌避。法廷は「…審理に重大な支障を生じるおそれがあるので、S氏の証言に限り、放送機材を持ち込んでの録音は禁止」という措置をとった。その後の20人の証人も被告も同じく放送を忌避したが、今度は録音も生放送も禁じられなかった。
しかし、被害者としてパルメ夫人が証言したときは、法廷は別室への実況の伝送を中断したばかりでなく、法廷外への音声の伝送を一切禁止した。
ストックホルム高裁は、審理開始前の9月7日に、被告・被害者・証人の陳述について法廷の公式録音以外のすべての録音を禁止すると決定し、公告した。にもかかわらず、何人かの証人の陳述については、自ら原則を変更して「一律禁止」を解除した。
「どうなっているのだ」という苦情が、国会オンブズマンに殺到した。市民、マスコミ関係者、判事などから、生放送はすべきではないという意見も、それを禁止したのは許せないという意見も。
この問題を取り上げて調査を行った国会オンブズマン長官クラース・エクルンド判事が示した見解は、次のようなものだった。

裁判の「公開」は重要な憲法原則であって、個人による録音も法廷の審理の目的達成を妨げない限り自由である。しかし、証人の陳述への心理的圧迫となって法廷の審理の目的達成を妨げるような録音の方法や録音の自由は、それを制限することが裁判長の法廷指揮権限の中に含まれる。その場合「録音」とは、後で見聞きするためのテープ録音・録画であろうと、生放送のための電子的収録であろうと、差異はない。問題は「何に」収録するかではない。「何のために」つまり、法廷での審理が正しく行われるために制限が必要か否かを判断の基準とすべきだ。その視点から吟味した結果、今回、録音の自由を制限した裁判所の措置に非難すべき点は見当たらなかった。
ただし、高裁が録音を事前に一律禁止と決めた、その決定には問題がある。手続法第36章第9条により、証人は、通常、自分の証言を終わったあとでなければ、反対証人の陳述を聞いてはならない。それに左右されないためだ。従って、証人に「事前に」他の証言を一語一語生放送で聞かれては困るという配慮は理解できる。
しかし、法の条文を類推によって拡張解釈することは慎むべきである。その配慮ゆえに憲法が定める裁判の公開の原則を制限するには根拠が弱い。制限を容認する法の明文がないのに、高裁が、審理が始まる前から、証人の意向も聞かずに、禁止、しかも、断定的・包括的に禁止と決めたのは不当であった。場合によっては、たとえ傍聴人には禁止しても、原告・被告や弁護人には録音・録画を自由に認めるべき場合もあるはずだから。現に、状況に応じて禁止を緩めた。むしろ、そのように、原則公開とし、やむをえない事由がある場合に限って制限が許されると心得るべきだ。
さらに、手続法第5章第9条の規定のしかた「音の収録の禁止もあり得る」という表現は不十分だ。ラジオ・テレビの生中継放送の扱いの説明が十分ではない。今回だけではなく、以前からの問題なのだが、一般市民に知ってもらうという憲法原則と、法廷の審理を万全にという要求とのあいだの折り合いを、どこでどうつけるべきか、もっと踏み込んだ規定のしかたが必要だろう。最近、法務省で条文の見直し作業を始めたと聞いているし、私はこの判定の写しを参考のため法務省にも回付するつもりである(1992年度報告書)。


4、裁判官は、絶対的な権力を行使するため、思い違いをし、自分が公務員(全体の奉仕)であることを忘れ、尊大になり勝ちである。
日本の裁判のように、陪審制等で市民が裁判に参加せず、官僚裁判官だけの裁判の場合、特に尊大になる。
諸外国では陪審制、参審制であっても、オンブズの監視があるのである。
特に日本の最高裁は、任命後初めての衆議院議員総選挙及びその後10年を経過した同選挙の時に国民審査を受ける以外に、国民の監視を受けることが無いので、裁判オンブズの必要性が高い。
  単に傍聴人として裁判を傍聴するだけでなく、裁判オンブズとして傍聴し、裁判のあり方に対し、抗議する必要がある。
傍聴人間の連帯、当事者との連帯、裁判のあり方に対する連帯、そのためには裁判オンブズ以外にはないのである。

5、裁判オンブズを強く提唱する所以である。>
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生田弁護士の裁判を闘うアドバイス集①

国家の根幹(帝国継承原理〈戦前の日本の否定〉)に
触れる裁判のやり方

2008.3.25
生田暉雄

第1、裁判所の強権性、権力的体質

 1、裁判所は、国家権力の根幹(戦前の日本の否定)に触れる訴訟に対しては、露骨に権力性を露呈する。
  
⑴ 教育権力
⑵ 安保体制
⑶ 自衛隊
⑷ 戦争責任
⑸ 国家間の密約
⑹ 沖縄軍事基地関連
⑺ 憲法改正

 2、特に被害との関連性が少ないと見られる訴えに対しては、極めて強権的(当事者適格、法律上の争訟性、訴の利益が無い等により門前払いとする)である。

 3、しかし、民主主義社会においては、国家の根幹に触れる問題こそ、真に、民主主義的に解明されなければならない。


第2、裁判官の戦争責任が問われなかったこと、最高裁のヒラメ裁判官養成により、裁判の強権性が助長される。
即ち、強権性の外延が急激に拡張されつつある。
国家の根幹に触れる事件だけでなく、国家にとって気に食わない事件は強権的に処理する。
裁判官の戦争責任が問われなかったことをタテに、裁判官は何をしても責任を問われない、との誤解による強権的裁判をする。
理屈が通らず、論理性が無くても平気である。恥や外聞も一切気にしないかのようである。

 1、裁判官の戦争責任は問われなかった。

  ⑴ 東京裁判では問われていない。
  ⑵ GHQは裁判官の戦争責任を問わなかった。

 2、裁判官の戦争責任が問われなかった理由は明らかでない。

  ⑴ GHQの日本占領のための日本の現状分析であるルース・ベネディクトの「菊と刀」(講談社学術文庫、13頁)や、それの資料となったハーバート・ノーマンの「日本における近代国家の成立」(岩波、ハーバート・ノーマン全集第1巻)には、裁判官、司法の役割に触れたところが無い。

  ⑵ 「戦後改革4 司法改革」(東京大学社会科学研究所編、東京大学出版会刊)や、「司法権独立の歴史的考察」(家永三郎著、日本評論社刊)にも、裁判官の戦争責任が問われたことは記載されていない。


第3、戦後日本社会で、司法は、立法、行政には出来ないダーティーな役割を担ってきた。

 1、立法、行政は、選挙の洗礼やマスコミに触れることから、多少の限界がある。

 2、しかし司法は、裁判の特殊性から強権性を思いのまま出来る。

 3、司法は行政の手先になっている。

 4、主権者は裁判で負ける仕組みを社会にアピールしなければならない。

 5、裁判を闘って初めて、司法自身を変える必要性を実感し、変える方法を考えようとするに至るが、その経過を多くの人の共感を呼ぶ方法に転化することの困難性。


第4、国家の根幹に触れる裁判のやり方

 1、行政裁判の活用

⑴ 可能な限り、民事裁判ではなく、行政裁判でする。
行政事件訴訟法23条の2等の活用。

  ⑵ 訴状提出と同時に証拠を提出しない。
   ① 行政事件訴訟法23条の2の釈明処分で、被告から証拠を取り寄せて提出する。
   ② 準備書面も取り寄せた証拠に基づいて作成する。

⑶ 訴状提出と同時に、最高裁民事局長・行政局長宛、内容証明郵便で、最高裁が裁判の独立を侵害しないよう注意を促す。
  ① 最高裁が裁判の独立を侵害していることを、主権者は知っていますよ!と注意する。

⑷ 強権的裁判を、広く、日弁連、学者、マスコミに訴える。

⑸ 違法な強権的裁判に対しては、即時、裁判官に対し、国家賠償訴訟を何度でも提訴する。
その際、被告に、最高裁長官、民・行政局長、高裁長官、地裁所長も含める。

  ⑹ 弾劾裁判所に、担当裁判官、最高裁長官等を訴追する。

2、住民訴訟の活用

 ⑴ 財務負担行為に対する監査請求と監査結果に対する住民訴訟。

 ⑵ 原告適格、被告適格、法律上の争訟性、訴の利益をクリアーできるが、監査請求したものしか原告になれず原告数が限られるマイナスがある。


第5、違法判決対策

 1、国連の個人通報制度の活用。

 2、公務員職権濫用罪(刑193条)で、検察・警察に告訴し、告訴した旨を本人・最高裁・高裁・地裁に連絡する。

3、国家公務員の懲戒(国家公務員法82条)を最高裁に申立て、その旨を本人・高裁・地裁に連絡する。

4、裁判オンブズの活用。

以上

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プロフィール

白崎一裕

Author:白崎一裕
1960年生まれ。とちぎ教科書裁判(現在のところ結審しているので元)<本人訴訟>原告。今後の裁判を準備中、反貧困ネットワーク栃木共同代表、ベーシックインカム・実現を探る会代表。

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