とちぎ教科書裁判通信

大田原市の扶桑社版歴史・公民教科書採択取り消し裁判の私的記録集

2009-06

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大田原市議会への請願書(部分)

●以下の請願書は、二名の大田原市議の紹介で、6月大田原市議会へ請願書として提出したが否決された。内容は、愛媛の方々のつくられた文章に手を加えてつくったものである。
否決は、されたが、内容的にいろいろ議論があったようで、事実関係を把握していない議会・議員関係者には情報提供的な意味合いはあったと思う。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

扶桑社版歴史・公民教科書および自由社版歴史教科書
の採択に関する請願


紹介議員名

請願の趣旨

義務教育諸学校の教科用図書の無償措置に関する法律(以下、「無償措置法」)1条は、「この法律は、教科用図書の無償給付その他義務教育諸学校の教科用図書を無償とする措置について必要な事項を定めるとともに、当該措置の円滑な実施に資するため、義務教育諸学校の教科用図書の採択及び発行の制度を整備し、もつて義務教育の充実を図ることを目的とする。」とあり、文部科学大臣ないし文部科学省および大田原市および大田原市教育委員会は、「当該措置の円滑な実施に資するため」の責務を負っている。つまり、以下で述べる本件勧告に関し、大田原市および大田原市教育委員会は、教科用図書(以下「教科書」)の安定供給・給付確保義務及び円滑かつ適正並びに公正な採択環境整備義務がある。
ところが、以下の請願の理由で述べるように、教科書の安定供給・給付確保及び円滑かつ適正並びに公正な採択環境整備の確保が損なわれる事態が極めて高い。
よって、主権者である請願人らは、その事態を回避し、教科書の安定供給・給付確保及び円滑かつ適正並びに公正な採択環境整備の確保するために、大田原市・大田原市議会・大田原市教育委員会に対し、下記の措置を履行するように勧告する請願を憲法第16条に基づき行う。





1、 新しい歴史教科書をつくる会(以下「つくる会」)主導扶桑社版中学校歴史および公民教科書(以下「扶桑社版歴史・公民教科書」)及び「つくる会」主導自由社版中学校歴史教科書(以下「自由社版歴史教科書」)を2010(平成22)年使用 教科書に採択しないこと。


請願の理由

(中略)

二 「つくる会」と扶桑社の著作権争いの経過

1、 先の採択結果を受けて、2005年9月以降、「つくる会」は、今後の方針などをめぐり、西尾幹二名誉会長・藤岡信勝副会長グループと八木秀次会長グループが激しく対立した。その後紆余曲折の対立を経て、八木グループが同会を脱会(2006年4月)し、「つくる会」は分裂した。

2、 八木グループは、フジサンケイグループや日本最大の右派組織である日本会議、安倍晋三元首相一派の支援を受けて、2006年10月に日本教育再生機構(理事長・八木秀次)を設立し、さらに、2007年7月、教科書編集・採択のために、「改正教育基本法に基づく教科書改善を進める有識者の会」(代表世話人・屋山太郎、以下、「教科書改善の会」)を発足させた。

3、 「つくる会」の内部抗争のなかで、教科書発行共同事業者である扶桑社は、そのパートナーである「つくる会」に対して、著者構成も新たにし、「教科書発行を主業務とする別法人を立ち上げ、そこからの発刊を予定して」いることを明らかにし、「つくる会」とのパートナー関係を解消した(2007年2月26日。「つくる会FAX通信」第192号)。なお、扶桑社は、「教科書発行を主業務とする別法人」として育鵬社(注1)を2007年8月設立した。

4、 一方、「つくる会」は、扶桑社とのパートナー関係の解消に伴い、自由社と提携し、『新しい歴史教科書』(「自由社版歴史教科書」)を発行することを明らかにした。そして、その自由社版歴史教科書を2008年度検定に申請手続きを行った。「つくる会」は、同申請本の内容について、①「基本的に現行の『新しい歴史教科書』(改訂版)の内容と変わりません。但し、一部書き直しや図版の変更等の手直しは行っております。」と公表した(「つくる会FAX通信」第234号、2008年4月2日)。

5、 一方、扶桑社も、「つくる会」が先に明らかにした自由社版歴史教科書の内容①に対して、「検定申請した中身に憂慮すべき点がある」とし、「現行の『新しい歴史教科書』は、執筆者、監修者、扶桑社が著作権を有する共同著作物であり、著作権者全員の了解を得なければ、この複製は、法律上、禁止されています」と指摘し、「法律違反を行わないよう通知しております」と自由社版歴史教科書の著作権に対して異議を唱えている(扶桑社ホームページ、『「つくる会FAX通信」に対する扶桑社の見解』扶桑社 教科書事業部、2008年4月25日)。

6、 また、扶桑社は、他の発行者と同様に2008年度検定に際して改定版を作成せず、同申請を行わないまま、現行本で2009年度の採択に望むことを明らかにした(同上)。

7、 「つくる会」は、扶桑社に対して、扶桑社版歴史教科書における「つくる会」の著作権を有している部分を全て削除しない限り、2010年3月1日以降、扶桑社が、扶桑社版歴史教科書と同市販本を出版、販売、領布してはならないとの出版等差止を求める訴訟(2008年6月16日、東京地裁に提訴、平成20年(ワ)第16289号 書籍出版等差止請求事件、以下「出版等差止請求訴訟」)を起こした(『朝日新聞』2008年11月20日)。
 
注1:扶桑社の100%出資(3億円)子会社。扶桑社の片桐松樹社長が社長兼任。また、「育鵬社」の新教科書は、八木グループらの「教科書改善の会」を中心に著者が構成されると思われる。

 
三 著作権争いがもたらす事態

 扶桑社は、先の「つくる会」の出版等差止請求訴訟に対して、「当社は、藤岡氏に対し、現行の扶桑社版教科書を採択していただいている教育委員会や私立学校、そして供給先である中学校に無用の混乱、迷惑をもたらさぬよう、強く要請しました」(『「つくる会FAX通信」に対する扶桑社の見解』扶桑社 教科書事業部、2008年4月25日)と同社ホームページにおいて危惧(混乱、迷惑)を示している。
この危惧は、「つくる会」が出版等差止請求訴訟を起こす前のものであり、それは、その後の提訴によって一層大きくなり、現実味を帯びかつ泥沼化している。この「つくる会」と扶桑社の間の互いの教科書における著作権争いは、『朝日新聞』(2008年11月20日)にあるように互いに一歩も譲らず、それは、下記の事態を来す可能性が極めて高い。

1、 扶桑社版歴史教科書及び自由社版歴史教科書教科書の発行者は、無償措置法第2条3項にある同教科書の発行(製造供給)できない事態を来し、

2、 仮に、扶桑社版歴史教科書あるいは、自由社版歴史教科書が採択されたとしても、同教科書の発行者は、同教科書を発行できないゆえに、同教科書を文部科学大臣ないし文部科学省ないし学校設置者に対し、供給できない事態を来し、

3、 その結果、無償措置法第3条に基づき、文部科学大臣ないし文部科学省は、同教科書を学校設置者に給付できない事態を来し、

4、 その結果、無償措置法第5条に基づき、学校設置者は、同教科書を学校の校長をとおして子どもたちに給与できない事態を来す。

  以上の事態は、無償措置法第1条及び同第4条の規定に反し、臨時措置法及び無償措置法の根本的趣旨である教科書の安定供給・給付確保及び円滑かつ適正並びに公正な採択環境整備に反する。


四 大田原市および大田原市教育委員会ら教科書の安定供給・給付確保及び円滑かつ適正並びに公正な採択環境整備の確保義務

学校教育法第34条において、「小学校においては、文部科学大臣の検定を経た教科用図書又は文部科学省が著作の名義を有する教科用図書を使用しなければならない。」とし、この規定を中学校、高等学校、中等教育学校等にも準用している。義務教育である小学校、中学校、中等教育学校の前期過程及び特別支援学校の小・中学部のその教科書については、先の述べたように無償措置法に基づき採択の方法を定め、採択された教科書を国がこれを購入し、義務教育諸学校の設置者に無償で給付することになっている。文部科学大臣は、教科書の発行に関する臨時措置法(以下、「臨時措置法」)第4条に基づき、発行者から届けられた教科書の書名を同法第6条1項に基づき、教科書目録を作成し、都道府県の教育委員会に送付する。臨無償措置法第13条5項の規定に基づき、この目録に登載された教科書のうちから採択がなされる。
上記の規定及び先の事態(1から4)を来す可能性が極めて高いことを鑑みれば、時措置法第6条1項の規定に基づき、扶桑社版歴史教科書及び自由社版歴史教科書を教科書目録に登載してはならないことは明白であると同時に大田原市・大田原市教育委員会においても、上記の扶桑社版・自由社版教科書を採択してはならない。


結語

以上のことを鑑みれば、大田原市および太田原市教育委員会が、同教科書を教科書採択することは、無償措置法第1条及び同第4条の規定に反し、臨時措置法及び無償措置法の根本的趣旨によって負っている教科書の安定供給・給付確保義務及び円滑かつ適正並びに公正な採択環境整備義務にも反することになる。
よって、主権者である請願人らは、その事態を回避するために、大田原市・大田原市教育委員会・大田原市議会に対し、冒頭に記載した措置を履行するように請願する。

以上


平成21年 6月 日
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プロフィール

白崎一裕

Author:白崎一裕
1960年生まれ。とちぎ教科書裁判(現在のところ結審しているので元)<本人訴訟>原告。今後の裁判を準備中、反貧困ネットワーク栃木共同代表、ベーシックインカム・実現を探る会代表。

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