とちぎ教科書裁判通信

大田原市の扶桑社版歴史・公民教科書採択取り消し裁判の私的記録集

2017-11

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月刊・ボランティア情報・2011年4月号、市民文庫書評

『愛の労働あるいは依存とケアの正義論』エヴァ・フェダー・キティ著 岡野八代+牟田
和恵=監訳 白澤社発行 現代書館発売 定価4400円+税

(評者) 白崎一裕

3・11!人間は、自由で理性的で責任ある主体なのだという自信は、原発事故をみても見事に崩れ去った。反対に、人間は、皆、傷つけやすくもろい存在なのだということが深く認識されたといえよう。
本書の著者 キティは、人間の「自立という虚構にメスをいれる」といい、「誰もがお母さんの子ども」ということで、人は、生まれてから一方な依存状態にあり、その後、成人していく過程で「相互依存関係」になり人生の終末期において(または重い病気などで)依存的になり死んでいくーーと述べている。私たちは、この生まれたときに、「一方的な依存」から出発している「事実」を忘れている。

そして、どのような社会も、子ども、病気や障がいのある人、介護が必要な高齢者などの「依存状態」の人々をケアする人がいなければ、まともな社会ではいられない。キティは、ケアされる人を「依存者」ケアする人を「依存労働者」として規定して、倫理学者のロールズらのとなえてきた「自由で平等で責任ある選択のできる人間」から両者とも排除されてきたではないかと指摘している。特に「依存者を世話する仕事・いとなみ」(dependency work)をする「依存労働者」の隠ぺい・無関心・道徳価値の引き下げが、「依存労働者」を搾取される存在にしてきたと強調する。「依存労働者」については、以下の注目される分析がされている。

1、良いケアを受けたいとする「依存者」のニーズと「依存労働者」に対して支払われる
市場からの報酬の不均衡、すなわち、市場では依存労働は十分に供給できない。2、依存労働は、女性にかたよって労働分配され、また、従順で愛情形成を促すような性的ふるまいを女性に強制してきたこと。3、「依存労働」が貧困女性や有色女性に強制されてきたことと、白人中産階級は、「依存労働」を担うことを理由に「有償労働」から排除されてきたこと。などである。
 キティは、哲学の教師であるが、本書の主題は彼女の娘さんが重度の障がいをもち、その娘さんとのかかわりの中で深められてきた。
 いま、大きな傷をおった社会をどう「ケア」するのか?そのことの意味を深く問いかける書物となっている。

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プロフィール

白崎一裕

Author:白崎一裕
1960年生まれ。とちぎ教科書裁判(現在のところ結審しているので元)<本人訴訟>原告。今後の裁判を準備中、反貧困ネットワーク栃木共同代表、ベーシックインカム・実現を探る会代表。

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